DX推進方針

経営の方向性及びデジタル技術活用の方向性

(1)策定の背景と当社の認識(外部環境の変化)

近年、少子高齢化に伴う深刻な労働人口の減少、カーボンニュートラルや環境規制の強化、さらには原材料・エネルギー価格の高騰など、製造・リサイクル業界を取り巻く経営環境は激しく変化しています。 当社の主軸事業である資源循環・環境インフラ分野においても、属人的な熟練技術(精製・処理ノウハウ)への依存や、労働集約的な収集運搬・配車業務、紙ベースの管理体制といった従来のオペレーションでは、多様化する顧客ニーズや厳格化するコンプライアンスへ迅速に対応することが困難になりつつあります。 このような環境下において、当社が持続可能な循環型社会の実現に貢献し、地域社会から選ばれ続ける企業であるためには、伝統的な操業手法に依存するだけでなく、最先端のデジタル技術やデータを最大限に利活用し、製造・リサイクルプロセスの提供価値を根本から変革(DX)していくことが不可欠であると認識しております。

(2)企業経営の方向性(ビジネスモデルの変革)

当社は、地域に最も信頼される長期的な環境インフラパートナーとして、「データとデジタル技術をフル活用した『スマートプラント・スマートロジスティクス』への変革」を新たな経営の方向性として掲げます。 従来の「経験と勘に頼る製造・運搬」というビジネスモデルから脱却し、デジタル技術によってプラント稼働や物流業務プロセスの徹底的な自動化・最適化を図ります。これにより生み出されたリソースを、安全操業の高度化、リサイクル製品のさらなる高品質化、そして排出事業者(顧客)に対するトレーサビリティの可視化といった本質的な付加価値支援へ集中させ、これまで以上にお客様と地域社会に安全と安心を提供する、信頼性重視型のビジネスモデルへと変革します。

(3)デジタル技術・情報の活用の方向性

上記の経営方針を具現化するため、以下の通りデジタル技術およびデータを戦略的に活用してまいります。

  • プラント運用・品質管理のデータナレッジ化(ナレッジマネジメント) プラントの稼働データ、精製工程における品質データ、過去のトラブル事例などを集約した社内データベースを構築します。これを独自のAI・分析ツールと連携させて活用することで、オペレーターの経験だけに依存しない、常に最高水準で最適な操業条件を迅速に導き出せる体制を確立します。
  • ロジスティクス(収集運搬)データの高度活用と効率化 配車ルート、運行状況、顧客ごとの回収頻度等のデータを蓄積・分析し、運行効率を最大化する「スマートロジスティクス」を実践します。これにより、燃料消費量の削減(CO2排出量削減)と現場の業務負担軽減を同時に実現します。
  • 顧客コミュニケーションと事務プロセスのデジタル化 お客様との受発注、電子マニフェスト、リサイクル証明書等のやり取りにおいて、セキュアなデジタルプラットフォームやチャットツールを最適化して運用します。これにより、お客様側の「事務負担」や「タイムラグ」を最小限に抑え、ストレスのない迅速な対応を実現します。

具体的な方策(DX戦略)

「DX推進方針」を達成するため、当社では蓄積された各種データを基盤とした以下の3つの具体的なDX戦略(データ利活用方策)を推進してまいります。

① プラント運用および製造プロセスの「データナレッジ化」戦略

過去の製造・精製データ(温度、圧力、処理時間、歩留まり率)、および製品の品質検査データや過去の設備トラブルデータを一元管理する「プラント・ナレッジベース」を構築します。 これらの蓄積されたデータを、独自のAIやデータ分析ツールを用いて多角的に検証・クロス分析することで、最適な運転条件の自動シミュレーションや、設備の異常予兆検知(予防保全)を行います。これにより、属人性を完全に排除し、安全操業とリサイクル製品の品質安定化を最大化する超高精度な生産体制への変革を実現します。

② 収集運搬・配車ロジスティクスにおけるデータの利活用戦略

排出事業者からの回収依頼データ、車両の走行データ(GPS位置情報、運行時間)、および拠点ごとの積載効率データを大量に蓄積・データベース化します。 どの運行ルートが最も効率的で燃料消費を抑えられるかを定量的に評価・分析し、最適化された「配車・運行最適化データ」を日々の収集運搬業務へリアルタイムに反映・利活用します。これにより、配送・回収プロセスの自動最適化を強力に進め、CO2排出量の削減とロジスティクス全体の効率化を実現します。

③ 顧客コミュニケーションデータおよびマニフェスト管理の統合戦略

デジタルプラットフォーム上で発生する、お客様との取引履歴、回収スケジュール、電子マニフェスト(管理票)データ、および各種環境報告用ドキュメント等のデジタルデータを一元的に統合・管理します。 これらのデータをリアルタイムに可視化・分析することで、手続きのボトルネックや遅延リスクを早期に検知し、先回りした最適なタイミングでのフォローアップ体制へと変革します。これによりお客様側の事務手間やタイムラグを最小限に抑え、スピード感のある高品質なリサイクルサービスを提供します。

① 戦略を効果的に進めるための体制・組織および人材の育成・確保

【推進体制・組織】
当社は、代表取締役を「最高DX責任者」とした、全社一丸となった推進体制を構築しています。

  • 統括責任者(リーダー): 代表取締役 髙木良幸
  • 推進担当: 製造・プラント部門、ロジスティクス部門、およびIT推進担当
  • 役割・体制: 代表取締役の強力なリーダーシップのもと、外部のIT専門家とも必要に応じて連携し、最新のIoT/AI技術の選定から現場への導入、および顧客向けサービスへの組み込みまでを迅速に意思決定・実行する体制を整えています。

【人材の育成・確保に関する方針】
当社が目指す「スマートプラント・スマートロジスティクス」を担う人材を育成・確保するため、以下の取り組みを実施しています。

  • デジタル・データスキルの育成(リスキリング): 製造プラントのオペレーターや運行管理者を対象に、データリテラシーやITツールの活用方法、IoT/AI基礎に関する外部研修・学習機会を提供し、現場でデータを使いこなせるデジタル人材を組織的に育成します。
  • 社内ナレッジの共有による育成: 構築した「プラント・ナレッジベース」を日常業務のOJT等に活用し、熟練社員が持つ固有の技術やノウハウ・成功データを、若手や全スタッフへ早期に継承・確保できる仕組みを運用します。

② 最新の情報処理技術を活用するための環境整備(ITインフラ・投資予算)

DX戦略を安定的かつ安全に推進するため、以下の通りIT環境および投資予算の整備を行っています。

  • ITインフラの整備: IoTプラントモニタリングシステム、運行管理システム、クラウド型データ連携基盤、セキュアなクラウドストレージを導入・運用し、強固なセキュリティ環境のもとでデータを一元管理・利活用できるデジタル環境を整備しています。
  • DX推進・IT投資予算の確保: 毎年、自社の経営計画において「DX推進・IT投資予算」を独自の投資枠として確実に確保します。これにより、最新のデータ分析ツールやセキュリティシステムのライセンス費用、および社員のスキル向上(外部研修・リスキリング)に紐づく諸経費など、DX戦略の実行に必要な資金的な環境整備を継続的に実施します。

DX戦略の達成状況に係る指標(KPI)

当社は、推進するDX戦略の進捗および達成状況を客観的に評価するため、以下の通り具体的な指標(KPI)を設定し、定期的にその達成度合いを測定・評価してまいります。

① プラントのデータナレッジ化に関する指標

  • 指標: プラント稼働・品質データのデータ化・蓄積率、およびAI分析ツールの社内活用率
  • 目標: 2028年までに、主要製造・精製工程のデータ化100%を達成し、トラブル予兆検知システムの日常運用率100%を維持する。
  • ② ロジスティクス業務の自動化に関する指標

    • 指標: 配車ルート最適化データの導入による、収集運搬・配送プロセスの運行時間および燃料消費量の削減率
    • 目標: 2028年までに、総運行時間を従来比で「30%削減」し、そこで生み出したリソースを安全操業の高度化や顧客対応の品質向上へ充てる。

    ③ 顧客コミュニケーション・マニフェストのデジタル化に関する指標

    • 指標: 電子マニフェストおよび顧客用デジタルプラットフォームを導入・活用するお客様の割合
    • 目標: 2028年までに、主要なお取引先様とのデジタルプラットフォーム連携率100%を目指す。

    代表取締役メッセージ(DX推進に向けた決意)

    当社が担う資源循環・環境インフラの維持と発展は、変化の激しいこれからの時代において、持続可能な社会を築くためにますますその重要性を増していくと確信しております。

    私たち自身が最先端のデジタル技術やデータを恐れずに取り入れ、製造やロジスティクスのあり方そのものを変革(DX)していくことは、お客様や地域社会に対して、これまで以上の安全・安心、そして高付加価値な環境サービスを提供するための、最高最善のアプローチです。

    私は、当社の実務執行総括責任者として、このDX推進方針および戦略の実現に向け、強いコミットメントを持ってリーダーシップを発揮してまいります。全社一丸となってデジタル技術を活用し、自社の操業・業務効率化を徹底するとともに、そこで得られた生きたノウハウや価値をすべてのステークホルダーの皆様へ還元していくことを、ここに宣言いたします。

    2026年7月7日
    静岡油化工業株式会社
    代表取締役 髙木良幸